九州大学では「がんゲノム講習会」と題し、2018(平成30)年7月24日(火)17:00~18:00の間、進展が目まぐるしいがんゲノム医療について学ぶ機会を設けました。なお、本講習会は九州がんプロの各大学に設置している『テレビ会議システム』を活用することで他大学も視聴できる体制を取り、5大学(九州、福岡、長崎、宮崎、鹿児島大学)での同時開催となりました。
今回の講習会では、鹿児島大学の上野 真一 特任教授(大学院医歯学総合研究科臨床腫瘍学講座)に講習会のコーディネーターを務めていただき、鹿児島大学の3名の先生方からご講演をいただきました。
上野先生からは「本邦のがんゲノム医療体制(中核~連携病院)」と題して、第3期のがん対策推進基本計画の概要にはじまり、がん関連遺伝子、日本国内における遺伝子パネル検査の実施状況、今後のがんゲノム医療の実用化に向けた動きについて解説をいただきました。
続く赤羽 俊章 先生には「遺伝子パネル検査の基礎知識:NGS解析からエキスパートパネルまで」と題して、遺伝子解析の全体的な流れや、解析例をもとにした各分野の専門家による検証(エキスパートパネル)のフロー等について説明をいただきました。
最後に鈴木 紳介 先生からは「がんゲノム医療の臨床:当院での実際」と題し、鹿児島大学病院で現在行われている「がん遺伝子検査」のワークフローや、遺伝子診断外来、遺伝カウンセリング等について説明をいただきました。
60分というわずかな時間ではありましたが、3名の先生方から具体的な事例等を挙げていただきながら、分かりやすくがんゲノム医療に関する最新情報を提供いただいたことで、今後の事業・教育研究の展開において大変参考となる貴重な時間となりました。この場をお借りして、コーディネーターを務めていただいた上野先生をはじめ鹿児島大学の皆様に御礼申し上げます。
(参考:開催情報)
日時:2018(平成30)年7月24日(火) 17:00~18:00
会場:総合研究棟5階 九州連携臨床腫瘍学講座カンファレンスルーム(九州大学会場)
参加人数:26名(九州大学会場)
プログラム:
講習会コーディネーター 上野 真一(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科臨床腫瘍学講座 特任教授)
・本邦の「がんゲノム医療体制(中核~連携病院)」(上野 真一)
・遺伝子パネル検査の基礎知識:NGS解析からエキスパートパネルまで(赤羽 俊章)
・がんゲノム医療の臨床:当院での実際(鈴木 紳介)
(文責:九州大学大学院医学研究院 九州連携臨床腫瘍学講座 教授 馬場 英司)
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