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活動報告

【九州】がんプロ学生と海外からのドクターとの交流(報告)

内 容/

   

 九州大学のがんプロでは、九州大学病院国際医療部海外交流センター(清水周次センター長)との密接な連携体制を活用して、海外から受け入れた留学生や研究者とも積極的に交流・情報交換の機会を作ることとしています。これにより、がんプロ教員は腫瘍学分野についての指導や意見交換を行い、がんプロ学生は普段の講義や実習に加えて、一人の研究者として海外とのネットワークを構築する機会に恵まれます。さらに受入学生・研究者とのコミュニケーションを通して、自身の知識の更なる習得・定着向上に活かすことが可能となります。

 

 この度、病院血液・腫瘍・心血管内科の腫瘍グループ(指導担当:磯部大地)にて受け入れたドクターとの交流状況の一部について報告いたします。

 

○期間:2019年5月20日~22日

 

○交流実績:アルゼンチン・ブエノスアイレス

 研究生を1名受け入れ、日本の大学病院における緩和療法やがん診療について、症例カンファレンスや回診へ参加させ、化学療法の実際、支持療法などについて指導した。またがんプロ学生との意見交換を行った。研究室では消化器がん幹細胞のオルガノイド培養や網羅的遺伝子解析、臨床研究の結果などについて指導および討論を行った。カンファレンスではアルゼンチンと日本の医療体制の違いに関しても討議を行い、相互の理解を深める機会となった。

 

※交流プログラムの詳細(スケジュール)は下部のファイルを参照ください。

 

○研究生の感想:

Mariana Fiorani, M.D.

Palliative Care and Pain Specialist

Assistant Professor, Diploma Course of Palliative Care, Favaloro University

 

During the month of May 2019, I had the opportunity, thanks to Dr. Eishi Baba, to visit the Kyushu University Hospital, most specifically the Oncology Service. I could appraise the way the Oncology group works; the days are well organized and the staff is very warm and kind with each other and specially with the patients. They showed me several research studies, some of them still in progress, of the most advanced topics regarding specific oncologic treatments, genetics, and patients’ symptoms. All the researchers are really into the topics and willing not only to publish their work, but also to help as many patients as they can. The incidence of the cancers is very different from Argentina, over there we mainly found breast cancer, lung cancer, colon cancer, prostate and cervix cancer. Nevertheless, the management and the protocols are very similar. I was really impressed with how modern and organized the Hospital is, regrettably in Argentina only private Hospitals and Clinics look like that. Also, I was deeply inspired by the amount of research that takes place over there. It was and unforgettable experience and I consider myself very lucky to have been there. I hope we meet again, and of course you are welcome to come to Buenos Aires any time.

 

○指導担当員の感想:

磯部 大地

 

 Fiorani先生はアルゼンチンで緩和医療を専門とする経験豊富な臨床医であった。アルゼンチンと日本の両国における緩和医療の体制、医療システムなどの類似点・相違点を知ることにより、それぞれの利点や欠点を明確にすることができた。アルゼンチンでは疼痛管理に日本ではあまり用いられないメサドンを積極的に使用することなどが印象的であった。またFiorani先生は臨床研究ばかりでなく、研究についても興味を持ち、計6人のがんプロ学生と彼らの研究について討論を行い、がんプロ学生にとっても有益なフィードバックがあった。

 

○がんプロ学生の感想:

・Fiorani先生と討論することにより、がん診療・研究に対する知識や問題点を整理することができた。また英語でコミュニケーションする機会にも恵まれた。(学生A)

・自身の基礎研究に関してプレゼンテーションを行ったが十分に内容を伝えることができなかった。特に英語で説明する場合、内容を簡潔に話すためには自身の研究内容をより深く理解しておく必要があることを改めて感じた。(学生B)

・胃癌における免疫チェックポイント阻害薬使用症例の研究について英語でプレゼンテーションし、討議を行いました。アルゼンチンでは日本ほど胃癌の発症率は高くなく、私達にとってのcommon diseaseが向こうの国では必ずしもそうではないということを知り、異なる地域の方と議論する際、その地域との差について考慮する大切さを学びました。また今回の交流を通じ英語で自分の思考を伝える良いトレーニングになったと思います。(学生C)

 

 

最後になりましたが、今回このような機会を我々に与えていただきました国際医療部海外交流センター清水周次センター長および森山智彦先生にはこの場をお借りして御礼申し上げます。今後も国際交流を通じて海外においても通用する人材の育成が進んでいくことを心より願っております。

 

【参考】九州大学病院国際医療部海外交流センター ホームページ

    http://plaza.umin.ac.jp/ovex/index.html