平成29年11月28日(火)18:30より、九州大学大学院医学研究院九州連携臨床腫瘍学講座カンファレンスルームにて、第2回「ゲノム講習会」を開催しました。九州大学病院腫瘍内科医の伊東 守、有山 寛、草場 仁志を講師として、「データベースの検索方法・臨床データを用いた演習1」を開催しました。セミナーには、教職員や学生をはじめ12名が参加しました。
がんの遺伝子検査を行うことで、精確にがんの特性を理解し、より適切ながん治療を提供しようという動きが全世界で加速しています。次世代シークエンサー(NGS)の普及に伴い、がんの網羅的な遺伝子検査を行うことが現実的となりましたが、その結果の解釈には専門的な知識を必要とします。本講習会では、がんの遺伝子検査結果を解釈し、患者の治療方針を提案する検査レポートを作成することを目標として、データベースの利用方法、レポート作成の要点などについて講義・演習を行いました。
前半は、がんに係る分子生物学・遺伝学の基礎的な講義を行いました。遺伝子検査にまつわる用語を確認し、検査結果の解釈の方法を学習しました。
引き続き後半は、がんの模擬症例1例を用いて、遺伝子検査結果の解釈、レポートの作成までの演習を行いました。結果の解釈にあたってはオンラインで利用可能なデータベース(COMIC, ClinVar, CIViC等)を利用しました。検出された遺伝子変異が見られる頻度やがんの形成に与えている影響について情報収集し、その遺伝子変異に対する最適な治療があるのかを評価しました。また、そこから具体的な検査レポートを作成するまでの手順について学習しました。
網羅的な遺伝子検査によって、これまでまとめて扱われていた個々のがん症例の多様性が明らかになり、その検査結果の解釈が重要になります。また、副次的にそのがん患者の家族にがんのリスクがあることが判明するケースもあり、情報の取り扱いに関して参加者を含めて活発な議論が行われました。
○日時 平成29年11月28日(火)18:30~
○会場 九州大学大学院医学研究院 九州連携臨床腫瘍学講座カンファレンスルーム
○講師 九州大学病院腫瘍内科 伊東 守、有山 寛、草場 仁志